齋藤寅『世田谷一家殺人事件』

世田谷で起きた残忍な一家殺人事件の真相を追ったルポ。その後全国各地で起きたいくつかの殺人事件がひとつの線でつながり、アジア人留学生のクリミナルグループが浮かび上がる。
そのグループの中核メンバーはまだ捕まっていないというのが不気味である。
彼らは、日本に対して激しい憎悪を覚えているようだ。
夢を抱いてやってきたはずの日本で、どのような日本人に出会い、どのような体験をして、このような凄惨な事件を起こすような人間になってしまったのか。
釧路の炭鉱で研修と称してこき使われるベトナム人の例が出ていたが、日本人が嫌がるような過酷な環境の中で人件費を抑制するために働かされている外国人留学がたくさんいることは既に新聞でも報じられている。
日本の外国人留学生受け入れシステムの現状にも問題は無いのか。外国人留学生を人間として扱っているのか。
公式なルートを通して配置された現場があまりにも悲惨で、そこを逃げ出した不法滞在者をそうと知りながら店員として雇用するパチンコ屋のおやじのほうが、彼らにとっては恩人となっているのだろうか。
また、メンバーの中心である中国人や韓国人は、学校で受けてきた反日教育の影響が残忍さに拍車をかけているのだろうか。
身の回りにいるかつての部下も含めた多くのまじめな外国人留学生を見ながら、日本という国のイメージについていろいろと考えさせられた。